板で囲い、ビニールやムロと呼ばれる敷物を敷き、再びビニールを被せ乾燥させた稲わらを乗せます。
採れたての文旦はまだ酸味が強いですが、こうすることにより実の熟成が進み、風味の良い美味しい文旦になります。
まずは野囲いから実をコンテナに移し、トラックで出荷場に運搬します。
その後選果機を通して実の洗浄とサイズ毎の区分けを行います。
そして、農家の目を通して一玉ごとに全ての実で厳正な審査を経て、選ばれた実がようやく出荷されます。
そうして出荷が終わると、息をつく間もなく文旦の花が咲き始め、人工受粉作業が始まります。
土佐文旦は自家受粉が難しい為、必ず別の柑橘を用いて人工受粉作業を施します。
一般的には小夏(日向夏)の花粉で行われています。
この作業は土佐文旦の栽培の根幹を成すものですので、雨が降ると作業が出来ません。
この時期は毎日何度も天気予報を確認し、雨が降らないか不安な日々が続きます。
最初は黄色ではなく緑色です。
このまま全ての実を成らしたいですが、樹が栄養不足になり自然に落果したり、小玉傾向になったり、厳しい乾燥や日照りが続くと樹そのものが枯死にしてしまう危険性もあります。
そのため6月〜10月の間に、3回程に分けて摘果作業を行います。
一度で落としきってしまうと、雨量等自然の影響を受けて実のサイズをコントロール出来なくなるので、こまめな作業が必要になります。
常に熱中症、脱水症の危険をはらんだ過酷な作業となります。
きつい分、一帯の雑草が刈り取られた園地の見晴らしはまさに壮観です。
これにより毎年新たな気付きがあり、ひいてはそれが品質の向上へと繋がっていきます。
緑色だった文旦も綺麗な黄色に色づきました。
園地には既に文旦の芳醇な香りが漂っています。
一年の苦労が報われる瞬間です。